売り上げが伸びないのは、どこで人が抜けているか見ていないからだ

売り上げが伸びない。
そう言うと、たいてい「もっと頑張れ」「気合が足りない」みたいな話になる。あれは無視していい。役に立たない。
売り上げが伸びないのは、気合のせいじゃない。どこで人が抜けているかを、あなたが見ていないからだ。 ほとんどの場合、それだけのことだ。
人は、いきなり金を払わない
まず当たり前の事実から。人はあなたのサービスを知った瞬間に財布を出したりしない。何段階かを順番に下りてくる。
例えばこうだ。
- どこかで知る
- サイトに来る
- 中身を見て使ってみる
- 価値を感じてお金を払う
- 満足して使い続ける
この道を「ファネル」と呼ぶ。じょうごの形だ。上は広く、下にいくほど細くなる。各段階で人は確実に減る。知った人のうち来るのは一部。来た人のうち使うのは一部。下にいくほど数は削れていく。
ここが肝だ。売り上げは、この各段階の「通過率」の掛け算で決まる。 一つでもゼロに近い段階があれば、その先がどれだけ良くても売り上げはゼロに近づく。
だから、全部を頑張ってはいけない
多くの人はここで「全段階を良くしよう」とする。間違いだ。手が分散して、結局どれも動かない。
やることは一つ。一番漏れている段階を、一つだけ見つける。
掛け算だから、一番落ちている穴を塞ぐのがいちばん効く。来訪から登録で9割が消えているなら、その先の課金画面をいくら磨いても無駄だ。そもそも誰もそこまで来ていない。
漏れている穴は、数字を並べれば一目でわかる
感覚で当てるな。各段階の人数を、ただ並べる。
例えば、ある月のデータがこうだったとする。
| 段階 | 人数 |
|---|---|
| 来た | 1000 |
| 登録した | 300 |
| 使ってみた | 250 |
| お金を払った | 5 |
並べた瞬間、犯人が見える。登録した人の多くは使っている。なのに、払ったのはごくわずか。「使う」から「払う」の間で、大量に抜けている。 ここが穴だ。
この状態で「もっと宣伝して来訪を増やそう」とやっても、傷口は塞がらない。入り口を2倍にしても、同じ割合で漏れるだけだ。直すべきは宣伝じゃない。「使った人が、なぜ払わないか」のほうだ。
「数字が取れない」は、言い訳になる
ここで「うちはそんな数字、測ってない」と思ったかもしれない。だが、高機能な分析ツールはいらない。
各段階の人数を、スプレッドシートに手で書き出すだけでいい。来訪はサーバーのログかアクセス解析、登録数と課金数はデータベースを数える。完璧じゃなくていい。桁が合っていれば、どこで人が激減しているかは一目で分かる。むしろ、いきなり高機能なダッシュボードを入れて、数字を眺めるだけで満足してしまう方が危ない。見るべきは一つ。「どの段階で、一番落ちているか」だけだ。
段階ごとに、漏れの理由は違う
穴の場所がわかれば、打ち手は絞れる。段階ごとに、典型的な漏れの理由はこうだ。
- 来る → 使ってみるで落ちる:来た人が「何をすればいいか」分からず帰っている。最初の一歩が見えていない。
- 使う → 払うで落ちる:価値は感じたが、金を払う理由がない。痛みの見せ方が弱いか、値段が見えていないか、無料のままで足りてしまっている。
- 払う → 続けるで落ちる:一度は払ったが、使い続ける理由がない。報酬や習慣が設計されていない。
自分の数字で一番落ちている段階を見て、その段階の理由を疑う。それだけで打ち手は「なんとなく全部」から「ここを、こう」に変わる。
例えば「使う → 払う」で漏れているとする。多くの場合、使った人は「これ便利だね」で止まっている。だが、便利と、金を払うの間には深い谷がある。便利なだけなら、無料で十分だからだ。谷を越えさせるには「便利」を「これが無いと困る」に変えるしかない。無料で使える範囲をあえて絞る。一番効く機能を有料の向こうに置く。相手が痛みを感じる瞬間に値段を見せる。どれが当たるかは、次の月の数字が教えてくれる。
直したら、また同じ数字を見る
最後に一つ。直して終わりにするな。
打ち手を入れたら、また同じ段階の数字を測る。5が15になったか。ただし数が小さいうちは、1回の変化はただのブレかもしれない。一度で結論を出さず、何度か見て傾向で判断する。それでも変わらなければ、その仮説は外れだ。次を試す。当たっていれば、その穴はもう小さい。次に大きい穴へ移る。
これを繰り返すだけだ。派手さはない。でも売り上げは気合では1ミリも動かない。穴を見つけて、一つ塞ぐ。測る。また塞ぐ。 その地味な往復の先にしか、伸びはない。
まとめ
- 売り上げが伸びないのは気合のせいじゃない。どこで人が抜けているかを見ていないからだ
- 人は段階を下りてくる(知る→来る→使う→払う→続ける)。売り上げは各段階の通過率の掛け算
- 全部を頑張るな。一番漏れている段階を一つ見つけて、そこだけ直す
- 穴は数字を並べれば一目でわかる。感覚で当てない
- 直したら測る。当たるまで、塞いで測るを繰り返す
伸ばし方を知らなかっただけだ。知ってしまえば、あとは穴を探すだけだ。


